和漢廿四孝(柳下亭種員撰・重宣画)・14 橘氏妙仲
伊豆へ流された父のあとを追い、父の死後も墓のそばで暮らし、やがて汚名を雪いだ孝行娘。
『和漢廿四孝』(東北大学附属図書館所蔵)
出典: 国書データベース,https://doi.org/10.20730/100445689
橘氏妙仲(たちばなうぢのめうちう)
橘速成(たちばな の はやなり・逸勢)が女(むすめ)なり
其父罪をえて伊豆国へ流さる
女(むすめ)別れをかなしみ 共にゆかんとせしかば
警固の武士 是を許さず
かかりしかば 止(とどま)る体にもてなし
昼は遅れ 夜はおひつきぬ
逸成 遠江の駅にて疾病て死す
むすめ あこがれ嘆き 骸を葬り
身は尼となり 妙仲と名を更め 墓のかたはらに庵して
おこなひすますこと十余年
竟(つひ)に叡聞に達し 死たる父に正五位下を給はり
罪名を免かるることをえたり
妙仲よろこび 死骨を都にたづさへ登り
多年の志をとげけるとぞ
ーーー
籠に入れられ伊豆へ流されていく父親を追う妙仲。父親の橘逸勢は途中で病死。そして怨霊となり、のちに御霊神社で祀られるのでした。妙仲の供養も届かないほど逸勢の恨みは強かったんでしょうか。