コツコツ古典

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絵本和漢誉・13 真田与市

崖下に投げられた石、投げ返したんかーい。

「和漢絵本誉」国文学研究資料館所蔵 クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 ライセンス CC BY-SA

真田の与市
大石を投かへして股野をこらす(懲らす)
真田の与市義貞勇力

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五郎と与市の石投げ合戦、幸若舞「夜討曽我」の一場面だそうですね。五郎が投げた石を受け止めて投げ返した与市の勝ち。五郎は与市の投げた石を受け止めたものの、投げ返せなかったようです。

幸若舞曲集 本文」国立国会図書館デジタルコレクションより

鹿狩りを終えて頼朝が中心の酒宴の席で、座敷の中に五尺ほどの大きな石がありました。本間さんという若者が邪魔だからどけようとして持ち上げたものの、力不足で投げ捨てられず、もとの位置に戻しました。

そこへ怪力俣野五郎が俺の出番とばかりに登場、石を宙に持ち上げ、「はるか東」に投げようと構えたところ、「はるか東」に何も知らない真田与市が馬に乗ってしずしずと通りかかりました。

そこで俣野が

俣「真田くん、この石投げたら取れるかな~?」

真「アホか」

俣「取れないのー?」

真田は馬から下り、「受け止めるから二個でも三個でも投げて見ろよ」

俣「えいっ」

真「取ったよ!返すぜ」

俣「うげっ」

俣野はなんとか石を受け止めたものの、力が落ちていたのか、石を投げ捨てました。真田にもう一度投げ返すことはできなかったんですね。

こういう流れですね。

周囲の人に「真田のほうが俣野より十倍力が強いね!」と笑われてしまった俣野は、今度はその場にいた人に「やかましいわ。お前ら相撲で勝負しろ」とふっかけて酒宴をさらに混乱させました。厄介な男だわ。