コツコツ古典

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2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

欄間図式(中)・4 冬 雪柳と鷺

冬 The British Museum所蔵 雪柳にさきのつ 尤かけほりにはよろしからす柳のえたよくたより有様にもやうをとりてよはからぬやうにすへししかしけんふんのあまりつよきやうにみゆるは何にてもおもく見えてあしく 打見はよはくしてつりのつよき様に心付る事か…

欄間図式(中)・3 秋 すいか

スイカ模様の欄間。見たことない。どこにあるんだろう。 秋 The British Museum所蔵 すいくわは 葉のかたちおもしろくてほりすかしていかにもよろし実はずい(い)ふん丸くみゆるやうに 角をおろすべし又はミのかすをはふきてませがき 或はわらなとをあいし…

欄間図式(中)・2 夏 粽(ちまき)

粽、おいしそうですねー。 夏 The British Museum所蔵 粽のもやうは かけひなたともに ほりやうかはりたる事なしまきたるところは丸くみゆるもよし こものみたれたるあいたは角のたちたるもよろし見合にほるへしみたれたるはの付たる物はすへてつりもつよく …

欄間図式(中)・1 春 桃 

今日から欄間図式の中巻に入ります。お目出たい鶴の中表紙。 The British Museum所蔵 中巻のトップは桃。 春 西王母か桃といへるは三千年に一度花さきミをむすふといへり花みともに一度に付るへし 是をほるには葉は角をおろし 花は中をくほむやうにすへしか…

欄間図式(上)・14 水鯉 (完)

水鯉(みつにこい) The British Museum所蔵 こいのうろこをまづわきはらにほしをつき尾の中となりへしたいにすこしこまかめに三十六つきてこれにうろこを付てこれよりわりいたし惣身のわりつけをさたむへしせのひれは九まいの(の)うろこよりはしめて付い…

欄間図式(上)・13 薄蝶

薄蝶(すすきにてふ) The British Museum所蔵 てふのはねはいつれもすじをいけて 地をへしうすくみゆるやうに心えへし此図はいんほり やうほりともによろしかるへし いんほりのときはてふのかたちほりとるやうのづ およそかくのことしそのほかはこれになそ…

欄間図式(上)・12 干傘

干傘(ほしかさ) The British Museum所蔵 からかさのもやう ひらきたるからかさはほねおもてはやげんに取うらは地をすきてほねたかくほるべし傘をかずすくなくしてあめなどをあしらいたるもよろし又は此もやうにたよりて或はあふぎ 或はうちわか茶道具のた…

欄間図式(上)・11 芦鴈

芦鴈(あしにがん) The British Museum所蔵 へいさのらくがんのづなりすさきをたよりにして あしをおくべしがんはあまりしけきも もやうよろしからず上へつめて とりの尾のかたされたるは何ほどきれてもくるしからず下へさがりて くびのきれざるやうにすべ…

欄間図式(上)・10 桐盡

桐盡(きりつくし) The British Museum所蔵 一ふでぎり 是もまへに志るす まき馬のごとく 筆つきをすこしみせて いんほりにすべしきりの葉のかたちはさまざま ものずきにまかせて加えべしすかしいくま有共 同し高さ おなじならびにならぬ様にこころへてすゆ…

欄間図式(上)・9 雨中笹

雨中笹(うちうのささ) The British Museum所蔵 是は目出度もやうなり松竹は四きともに色をへんぜず猶しぐれにもとうやうせぬもの也そのうたに 木々の葉の いろつく秋の くれ竹はしぐれになをや みどりそふらん 又松にしぐれの哥にそめやすき よその こずゑ…

欄間図式(上)・8 浪兎

浪兎(なみにうさぎ) The British Museum所蔵 かやうのもやうのたぐひさまさまありうさぎなみ共に角をおろして丸くほりてはゆうげんならすうさぎ斗を角おろしすいぶん丸く見ゆるやうにしてなみはかどをたててうちをすこしそりにてすきくぼめいかにもうすく…

欄間図式(上)・7 秋

秋 The British Museum所蔵 すきくわにいんけんまめのもやうこれはつるものにてむつかしき物なりしかれども葉のおき所つるのはたらきをもつてつるもはもよはからぬやうのほり様あるへしまめの花は右のごとく葉はかくのごとく三はのうち下二ばはぢくなしみは…

欄間図式(上)・6 雑 貝盡

雑(ざう) 貝盡(かいづくし) The British Museum所蔵 うみべのもやう 海の字もかいとよむ舟の棹もかいとよむなれば かいつくしといふ心をよせてふねのかいをあしらふたるをものすきとするなり貝は右の方より 名をここにしるす まてがい さざい貝かうな あ…

欄間図式(上)・5 枚馬

枚馬 (←牛偏なら牧だけど木偏ですよね???) The British Museum所蔵 馬 まき共 いふべし 是は いんぼり也一ふてむまの図なれば やうぼりにはなりがたしうち付て書たる 筆ほうをあらはしてすかしほりにすへし ふてさきのつきあはぬやうに心得てほるべしお…

欄間図式(上)・4 雪中松

雪中松(せつちうのまつ) The British Museum所蔵 ゆきまつにみそれをあしらいたるなりしかれとも地のあきたるをよしとするときはみそれはなくともしかるへし 又みそれあるひは雨なとをあしらふときは松の木たち(木立)いかやうともなるへし とかくはにき…

欄間図式(上)・3 秋 菊尾花

秋 菊尾花(きくをばな) The British Museum所蔵 大きく数々あらば かけのはなをまじへたるもよし 惣して花のおもては 丸くみゆるやうに ふちをおろしうらは うすくみゆるやうに そりにて中をくぼめる也 葉のしへは 表はしへをやけんほりにほりとる裏は し…

欄間図式(上)・2 夏 沢杜若

夏 沢杜若(さはにかきつはた) The British Museum所蔵かきつはたは 花の色むらさきなるものゆへに 花を如此 ほりすかしてもしかるへし又白きも有ゆへに ひなたはかりも有へけれとも先はむらさきの花をしやうくはんするものゆへにかけひなたをまぢへて ほり…

欄間図式(上)・1 春 檜垣梅

春 檜垣梅(ひがきにむめ) The British Museum所蔵いんやうほり ひかきの内はかけにほり ひかきより上はひなたにほりすかすべしいんやうのもやうおくにくはしくみゆるくろき所はほりすかしと心えへきなりたたしこのみによりてのこらす かけに成ともひなたに…

欄間図式 (大岡隼人1734)

明日からは「欄間図式」という、欄間の図案が描かれた本をご紹介していきます。欄間彫刻はお寺の本堂などでよくお見掛けしますね。大英博物館所蔵、上中下の三巻です。 上から「夏 沢杜若(上巻)」「住吉景(中巻)」「海燕(下巻)」 ↓タイトル破れてます…

金縹題名将手鑑 下之巻・22 源為朝 (完)

大トリは御曹司為朝。 国立国会図書館デジタルコレクションより 源為朝鎮西八郎源為朝は六条判官為義の八男義朝の弟なり 近衛の院の久寿元年筑紫にて生まれし故 鎮西八郎と号す 日本無双万夫不当の豪傑 ことに弓勢に優れし事世の人の知るところなり かつて肥…

金縹題名将手鑑 下之巻・21 武蔵坊弁慶

弁慶は敵の矢を全身に受け、それでも倒れることなく仁王立ちのまま息を引き取っていました。有名な弁慶の立往生ですね。この絵は弁慶の壮絶な最期・・・と思いきや、弁慶が自分に似せて作った人形でした。 国立国会図書館デジタルコレクションより ここに武…

金縹題名将手鑑 下之巻・20 衣川合戦

義経一行VS藤原泰衡、衣(ころも)川の合戦の場面です。 国立国会図書館デジタルコレクションより 去んぬる文治二年土佐坊を討つて奥州へ下り給ひし義経を討たんとて源二位頼朝の下知として まづ御館秀衡の方へ使ひを立て 義経を討てとあれ共 秀衡否みてこれ…

金縹題名将手鑑 下之巻・19 比企能員と仁田四郎

北条方の仁田四郎に羽交い絞めにされている比企能員。烏帽子を被って、動きにくい長袴を穿いているのが能員ですね。長袴なんか着てたら戦えないというか、歩くのも大変そう。 国立国会図書館デジタルコレクションより 比企判官能員は鎌倉右大将頼朝公(そう…

金縹題名将手鑑 下之巻・18 梶原景季

謡曲「箙」の人。箙に梅の枝を挿して戦った粋な景季。 国立国会図書館デジタルコレクションより ここに梶原平三景時が嫡子 源太景季は人に勝れし功名をせんとて生田の森の敵陣なる一の木戸を一番乗りして味方の勢を繰り込みたり馬もすでに乗り倒し徒歩立とな…

金縹題名将手鑑 下之巻・17 一ノ谷合戦

一ノ谷の合戦の様子。 国立国会図書館デジタルコレクションより 相模の国鎌倉に頼朝ゐながら平家を討たんと 舎弟範頼義経に下知して摂州一の谷を攻めんとて義経は搦手へ回り 範頼は大手生田の森へ押し寄する平家方にもこれを見て多勢を出だして戦ふたり 此時…

金縹題名将手鑑 下之巻・16 義経と教経

「義経の八艘飛び」で有名な場面ですね。 国立国会図書館デジタルコレクションより 九郎判官源義経公はその才知凡人ならず 謀すべて図に当たり一の谷 鉄拐が峰の逆落としに平家は一戦にも及ばず ことごとく船に取乗り波に漂ふ その折から讃岐の国八嶋壇の浦…

金縹題名将手鑑 下之巻・15 巴御前

今井四郎の妹、巴御前。美人かつ勇猛。今井四郎と樋口二郎、義仲四天王の二人を兄に持つ巴。最強兄妹ですね。 国立国会図書館デジタルコレクションより 木曽中三権頭兼遠が娘 今井の四郎兼平が妹 巴御前は朝日将軍義仲公の思ひ者なり 容顔美麗にして心優しく…

金縹題名将手鑑 下之巻・14 平清盛

扇を掲げて海の彼方の太陽を見つめる清盛。 国立国会図書館デジタルコレクションより 刑部卿忠盛の嫡子平清盛は一門広く子息重盛宗盛をはじめ数多あり御娘は入内して建礼門院と申奉り安徳天皇の母君たりされば外戚の威光 一門一家に及ぼし 月卿雲客 高位高官…

金縹題名将手鑑 下之巻・13 俣野五郎と真田与市

組み合いながら崖を落ちていく武将二人。よく描けますねえ、こんな絵。 国立国会図書館デジタルコレクションより 高倉の院の治承四年八月十七日 右兵衛佐頼朝 旗を挙げて山木兼隆を夜討ちにし同十九日 小早川の合戦に打ち負け 石橋山に敗軍して土肥の杉山に…

金縹題名将手鑑 下之巻・12 堀川御所の義経

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 本日より金縹題名将手鑑の下の巻に取り掛かります。番号は上巻からの続きで12から始めます。次ページの赤で囲んだ部分までが義経の説明文です。金縹題名将手鑑上下巻で義経は三回登場します。…