コツコツ古典

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金縹題名将手鑑 下之巻・19 比企能員と仁田四郎

北条方の仁田四郎に羽交い絞めにされている比企能員。烏帽子を被って、動きにくい長袴を穿いているのが能員ですね。長袴なんか着てたら戦えないというか、歩くのも大変そう。

国立国会図書館デジタルコレクションより

比企判官能員は鎌倉右大将頼朝公(そうぎゃう…創業?)の功臣なり
和田畠山に劣らぬ忠抜群の武士たり しかるに頼朝逝去の後は
北条時政父子天下の大権をとり二位禅室政子御前の所縁により
心のままに政治をなす 二代の将軍頼家卿の北の方は此の能員が
娘なりければ 北条父子も能員には心を置きけるまま 能員も
時政親子なき時は己が権威心のままたるべしとひそかに北条を
失はんとたくみしを邪知深き時政たちまち悟り この由を尼公政子に
訴へ やがて能員へ使者を立て将軍の御召と偽り仁田四郎を御簾の内へ
隠し待つとも知らず比企能員長廊下を何心なくよぎる所を不意に
おこつて大力無双の四郎忠常 能員にむづと組む 能員も又
優れたる大功の者なりけれども烏帽子素襖長袴にて働き自由ならざりければ
つひに仁田がために生け捕られぬ 此後将軍頼家公も能員に組し給ひぬとて
伊豆に押し籠め奉る これみな北条親子が姦計によることなりとぞ

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仁田四郎は富士の洞窟探検したり猪の背中に乗ったり、絵になるエピソード持ってますね。