金縹題名将手鑑 下之巻・20 衣川合戦
国立国会図書館デジタルコレクションより
去んぬる文治二年土佐坊を討つて奥州へ下り給ひし義経を討たんとて
源二位頼朝の下知として まづ御館秀衡の方へ使ひを立て 義経を討てと
あれ共 秀衡否みてこれを討たず しかるに秀衡老病せまりて 遂に死す
その子泰衡父の遺言を守らず すなはち頼朝の仰せに従ひ 義経を
討たんとて一族郎党あまた従へ 義経公の籠り給ふ衣川の城へ押し寄せ
十重二十重に取り囲み 義経主従を討ち取つて鎌倉の恩賞に預かれとて
昼夜を分かたず攻めたりけるに 城中にも亀井片岡伊勢の三郎駿河
熊井の太郎なんど一人当千の強者ら出でては戦ひ斬り靡け こもりては
城を守る事鉄石の如く なかなか急に落城すべき容体さらになかりければ
寄せ手はあぐみ 遠巻きにして兵糧攻めにぞしたりける
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↑右下の旗の家紋。見たことないんですがこれは藤ですよね?藤原の軍勢でしょうね。
↓左のページの旗印は「庵木瓜」や「松皮菱に五三桐」、「並び矢」の家紋。どれが誰の家紋かわかりませんがきっと「亀井 片岡 伊勢の三郎 駿河 熊井の太郎」のうちの誰かの家紋。