欄間図式(上)・8 浪兎
浪兎(なみにうさぎ)
The British Museum所蔵
かやうのもやうのたぐひさまさまあり
うさぎなみ共に角をおろして丸くほりては
ゆうげんならす
うさぎ斗を角おろしすいぶん丸く見ゆるやうにして
なみはかどをたててうちをすこしそりにてすきくぼめ
いかにもうすく見ゆるやうにすべし
此もやうにかぎるへからず
惣て此たぐひなるものは此心えをもつてほるべきなり
なみはずいぶんけつをとり
所々すかしてすずしく見ゆ(る?)やうに
ほるべし
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かやうの模様の類様々あり
兎浪共に角をおろして丸く彫りては幽玄ならず
兎斗(ばかり)を角(かど)をおろし ずいぶん丸く見ゆるやうにして
浪は角を立てて内を少しそりにて すきくぼめ
いかにも薄く見ゆるやうにすべし
この模様に限るべからず
惣て この類なるものはこの心得をもつてほるべきなり
浪は随分けつ(隙間)をとり 所々透かして涼しく見ゆ(る?)やうにほるべし
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うさぎは彫る時に丸っこく表現して、波は角(かど)を立て、空間を空けて涼しげに見せましょうね、ということかしらね。
浪は角を立てる、というのはこういう状態かな?波の曲線部分を指で触ったら痛い感じ。