コツコツ古典

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和漢廿四孝 (柳下亭種員 撰)・20 竹内邑今女

魚が飛び跳ねてます。鯉を食べたいという父親の願いを叶えてあげたくて悩む孝行娘が川で洗い物をしていたら、鯉が川から飛び跳ねて、桶の中へ入るところです。

竹内邑今女(たけのうちむらのいまぢょ)
大和の国竹内村の農民なにがしが娘 今女といへるは 早くより母にわかれ 
一人の父を限りなく大切になしけるが 家きはめて貧しく よろづ思ふに任せねども 
その父が望むものは 心を尽くして これをととのへ与ふるに あるとき鯉を
食せんことをいふ あたりに大いなる流れもあらず 求めんとするに あたへなければ
なんとせんと 案じわづらひつつ 前の小川へ家具を洗ひに出でけるに 不思議や 
たづさへゆきし桶の内へ 尺に余る鯉踊り入けり 今女大きに喜び父にすすめぬ 
これ天より 孝女へたまはりしものなるべし

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文中、「小川へ家具を洗いに出た」とあります。家具というのでタンスでも洗うのかと思いましたが古語辞典によると家具とは「日常生活で使う器物や道具」または「膳・椀などの食器の称」とのことなので、食器のたぐいを洗いに来たんでしょうね。

 

 

こちらは書籍後半・中国の二十四孝の中の王祥。真冬に生魚を食べたくなった母親のため、凍った川だか池だかに行って、服を脱いで体温で氷をとかしていたら水中から鯉が飛び出してきた、という過酷なお話。

 

上の王祥の絵を参考にしたと思われる彫刻。

山形県貞泉寺の二十四孝(中国)彫刻から。