コツコツ古典

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和漢廿四孝 (柳下亭種員 撰)・23 楠正行

楠正成の嫡男、楠正行。

早稲田大学図書館古典籍総合データベース」より

楠正行(くすのきまさつら)
帯刀正行は父正成湊川に討ち死の後 遺言を守り 南朝の帝に仕へ奉り 忠戦数度に
及びしかば 君叡感あつて 弁の内侍とてきこゆる美人を 宿の妻に賜らんとありければ勅答の歌一首を奉りぬ
〇とても世に ながらふべくも あらぬ身の かりのちぎりを いかでむすばん
南朝の微運をとくにさつし 君恩にいのちをすてんと思ひきまめしものなり

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絵の中で御簾の向こうにいらっしゃるのが後村上天皇ですね。深々と頭を下げているのが正行。隣に座る絶世の美女・弁内侍を正行の嫁に、というせっかくの天皇の申し出を「戦って散る身ですから」という意味の歌を添えて断る場面。弁内侍も悲しんでいる様子。

後日、正行は「かゑらじと かねて思へば梓弓 なき数にいる 名をぞとどむる」という辞世の句を残し、戦場で散ってしまいました。弁内侍は尼となり、正行の菩提を弔って一生を過ごしたとのこと。

 

この歌が刻まれた扉が奈良の吉野の如意輪寺に保管されているとか。来春友人と吉野の桜を見に行く予定なので寄れるといいな、と思っています。