コツコツ古典

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英雄図会(葛飾戴斗1825年)・7 平惟茂

謡曲「紅葉狩」で有名な平惟茂。

ARC古典籍ポータルデータベースより

平惟茂(たいらのこれもち)
平の兼忠が子なりしを貞盛養子とせられて十五人目の子なりしゆへ
余五将軍と号 古今無双の大力なり 曽て奥州に住せしとき 沢股諸任領地を
争論し戦ふこと数度なり 或時惟茂か館無人なるを聞 諸任 急におし寄ければ
多勢に追立られ惟茂方 過半討れにけるゆへ惟茂自ら館に火をかけしかは
諸任おもひのままに打勝 帰陣しける 頓(やが)て 惟茂か家人焼跡
駈付惟茂を尋ければ是に有とて池の中より顕れ出 討残されし手勢を集め
諸任が勝戦の油断を見すまし不意に夜討して諸任を討取けり
就中信州戸隠山に入て怪鬼を退治せしこと世の人よく知る処なり
謡曲に作りては紅葉狩といふ

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文中の9割は奥州での、惟茂と諸任の壮絶な戦いの説明。でも挿絵は文末に書き添えられた「戸隠山に入て怪鬼を退治せしこと」の場面。多田満仲の強盗の話と同じく、「紅葉狩」も誰でも知ってるポピュラーな話だったんでしょうね。

昔「短編小説集みたいなものよね」と、古本で観世流の謡本を何十冊も大量に買い込んで読みました。くずし字や変体仮名で書かれていたので読むのに苦労しました。30冊以上読んだら難なく読めるようになりましたが。

左の謡本の五つ目のタイトルが「紅葉狩」

謡やってる人はみんな変体仮名も読めるんだなーと感心していましたが、単に私が買った謡本が明治時代の本だったというだけで、現在の謡本はちゃんと現代仮名で読みやすく書かれていました。

謡本は字も大きいし、一編数分で読めるので電車の中で読むのにいいから、たまに一冊バッグに入れて外出したりします。車内で読んでいると「謡をされるのですか」と年配の方から声がかかることがあり「いえ、全く。読んでるだけです」と答えます。以前電車で隣席の女性から「西王母読んでらっしゃるんですね。西王母というバラがどこそこのバラ園にあって・・・」と、バラのお話を聞かせていただきました。あとで調べたら西王母という品種のバラは桃の実をほうふつとさせる色合いでした。ネーミングセンス良いですね。