コツコツ古典

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英雄図会(葛飾戴斗1825年)・15 頼政と猪早太

頼政による鵺退治のお話。

ARC古典籍ポータルデータベースより

頼政 猪早太(よりまさ)(いのはやだ)
源三位頼政が文武兼備へたる勇士にして尤歌道の誉世に高し
射術殊に秀たればとて近衛院の御時勅によつて雲間の怪鳥を射る
家臣猪早太なるもの有力勝れたり 射落す処の獣を刺殺す
高倉の宮をすすめ平家を亡さんとして敗軍し扇の芝に自害す
辞世の歌
埋れ木に 花さくことも なかりしに みのなるはてそ あはれ成けり

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鵺退治のくだり、平家物語上巻から。

近衛天皇がご病気になりました。毎晩丑の刻になると御殿の上に怪しい黒雲が漂い、天皇は怯えます。高僧がお経を読んでも効果なし。公卿たちは話し合いました。

昔、堀河天皇も同じように怯えられたことがあったが、そのときは源義家が物の怪を追い払った。だから今回も源平の武士の一人にまかせちゃおう♪誰がいいかな?

すると当時左少弁の源雅頼が「妖怪退治なら頼政に任せましょう」と言ったものだから、しぶしぶ頼政が鵺を退治することになりました。

それでも頼政は見事鵺を射落として、「獅子王」という御剣を賜り、名声を上げました。鵺は舟に入れて流しました。

謡「鵺」では退治され流された鵺の亡霊が登場します。同じく謡「頼政」では扇の芝に頼政の亡霊が現れ、旅の僧に戦の流れと自害について語ります。

名刀「獅子王」は一時徳川家康の手にも渡りましたが、現在は東京国立博物館の所蔵となりました。重要文化財に指定されています。