コツコツ古典

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絵本故事談 巻之五・29 浄明一来

「浄妙一来」という人ではなく、「浄妙さん」と「一来さん」というお二人のお坊さん。お二人ともお坊さんらしからぬ勇ましさ。平均台みたいな細い橋桁の上を飛び跳ねて敵に向かっていきます。川は京都の宇治川です。

早稲田大学図書館古典籍総合データベース」より

浄妙一来(しゃうめういちらい)
筒井の浄妙明秀は三井寺の僧侶なり 茂仁(以仁)皇子 都をひらき給ふ時
平氏の諸将追て宇治川に會戦 頼政謀て橋上の板を壊り棄つ 浄妙一人
進て其行桁を走り軽捷の術を施して敵兵を殺こと数十人なり
又大刀の悪僧一来法師といふあり 同しく橋梁を渡るに浄妙先に有て
すすむことあたはす ここに於て浄妙か冑を伝へ其頭上を踊越て戦といふ

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平家物語 巻四 橋合戦の事」によると、一来法師は浄妙の後ろに続いて戦っていましたが橋の上が狭くて浄妙を追い抜けないので、浄妙の冑の錣に手を置いて、肩を跳り越えて戦った、とのことです。ということは挿絵で橋の上で空中にいるのが一来法師、後ろで橋桁に立っているのが浄妙ですね。