コツコツ古典

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金縹題名将手鑑 上之巻・7 朝比奈三郎

怪力の上に泳ぎが達者で鮫まで捕まえた人。

国立国会図書館デジタルコレクションより

和田左衛門尉義盛が三男 朝比奈の三郎義秀は 元来木曽義仲が妾腹の子にて
巴御前といふ大力の女が腹に身ごもりてありし時 義盛軍功にかへて頼朝公に
申こふて巴を妻とし そののちに生まれて義盛の子となれり されば義秀が
勇敢絶論なる事は 今も世に語り伝へて童子の伽話になほ残れり 
さて又鎌倉より六浦へ出づる所に朝比奈が切通といふあり これは
仁治元年十一月朝比奈一夜に切り抜きたりといふ 
又水練の達者にて頼家公の御前にて小坪の海中に飛び入り 
二時ばかりのちに生きたる鰐鮫を掴みて浮かみ出でたること
吾妻鏡に見へたり
又和田合戦に御所の門を押し破る 此のとき誰あつて向かふ者なく
足利義氏たまたま出あふて 命あやふく逃げんとしたる鎧の草摺
朝比奈に取られ引戻さる義氏一生懸命と馬に鞭あて駆け出す
はづみに草摺を引ちぎらる 
そのあとへ又高井の三郎討つてかかるを朝比奈はあたかも小児を
扱ふごとく討つて捨てるも大人気なしと 片手に捕らへて投げのけたり 
高井はこれを残念と再びおきかへつて うつてかかるを
朝比奈は打わらひ 又引とらへて投げのけたり 
かくて戦ははてなんとするに 相手なければ是非なく落行き
つひに其行く先を知らず あるひは高麗国へ渡りしといへり

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ちょっと泳いで見せて、と言われて海に入り、やがて両脇に鮫を抱えて登場。この鮫をどうしたんだろう。みんなで食べたのかな。

国立国会図書館デジタルコレクション 前賢故実八巻より