コツコツ古典

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英雄図会(葛飾戴斗1825年)・23 佐々木盛綱

佐々木信綱と塩焼藤太さん。塩焼藤太って誰?

ARC古典籍ポータルデータベースより

佐々木盛綱(ささきもりつな) 塩焼藤太(しほやきとうだ)
宇多源氏棟梁佐々木源三秀義の三男加地左兵衛尉盛綱入道西念は鎌倉の昵勤にして
高綱の兄定綱の弟なり 父子兄弟いつれも武勇の誉れ高し 就中高綱は宇治川
先陣に名をあげ盛綱は八嶋の戦ひに藤戸の海を渡して一番乗せし古今比類なき
戦功を顕せり恩賞として備前備後を賜ふ 鳥坂の合戦には盛綱及子息信実盛季父子
軍忠を致し坂額女を擒(とりこ)にす 後年仏門に入て往生の素懐をとげられたり
備後の三郎高徳はこの盛綱の後裔にて則児島木村の氏祖なり

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上の文中に塩焼藤太さんは出てきませんでした。「平家物語 巻十 藤戸の事」を再読してみました。

平家を討つために藤戸の海を渡る必要があるものの船を持たない源氏側。そこで源氏の武将佐々木盛綱が「浦の男」に手土産など渡して浅瀬の様子を聞き出し、先陣を切って海を渡った、という話。盛綱は「浦の男」に浅瀬の情報を他言されることを恐れて切り殺してしまいました。

平家物語を元にした謡曲「藤戸」では漁師の亡霊とその母親が登場しますがやはり漁師は無名の「浦の男」です。

この謡「藤戸」を参考にしたと言われる近松門左衛門の作品に「佐々木先陣(佐々木大鑑)」(1686年出版)があり、その中で塩焼藤太夫とその娘二人が登場します。

(ストーリー)

盛綱の兄の広綱が浅瀬の渡り方を聞き出そうと、汐汲みのため浜に来ていた姉妹を捕らえ、姉妹が「知らない」と答えると「じゃあ夜になったら海の中を歩いて確かめさせるぞ」と縛り上げて草むらに放置。そこへあとからフェミニスト盛綱が現れて、命乞いする姉妹の縄をほどいて助けたところへ広綱が戻ってきて兄弟喧嘩が勃発。その隙に姉妹は逃げ出し父親の塩焼藤太の元へ・・・。

まだこの先は読んでいませんが、その後父親を殺された姉妹が盛綱に復讐をしようとするみたいです。作家の想像力や発想力って果てしないですねー。

これは塩を焼いてるところ・・・なんでしょうね。塩焼藤太さんですからね。親切に教えたばっかりに殺された気の毒な人。