コツコツ古典

間違いがあったらコメント下さい。

金縹題名将手鑑 上之巻・11 樋口二郎兼光

今井四郎兼平のお兄様ですねっ。なんとなく「次郎」のほうがしっくりくるんですけど、「二郎」って書いてあるから二郎さん。

国立国会図書館デジタルコレクションより

木曽の冠者義仲 北国加賀越中の境なる砺浪山 倶利伽羅峠の戦ひに
樋口の二郎兼光は 比類なき働きしたる 義仲一二の郎党たり 
しかるに平軍山国に満ち満ちて をさをさ軍威を張り 切所を頼みゐたる
ところに義仲の謀 図に当たり平家ことごとく敗軍して深山幽谷の土と
なるもの挙げて数ふるに暇あらず 
ここに平家の大将右京の介(右兵衛佐?)為盛頻りに采配取つて下知を伝へ
勇猛優れし大将なり
樋口は今日の戦に此人を討ち取つて大将の御覧に預からんと平軍の
乱れ立つたる中に為盛を見つけ 名乗りかけて討ちあひ討ちあひ
勝負せしが やがて為盛を突いて落としその身も続いて馬より飛び降り
乗りかかつて膝にひつ敷き 勇士の一言 つひに違はず首掻き切つて差し上げたり
されば倶利伽羅合戦に木曽方にての功名は樋口の二郎兼光を第一番とぞ
記されける

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金縹題名将手鑑 上之巻はこれにて終了。下巻は年明けから始めようと思います。皆さまよいお年を!