コツコツ古典

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英雄図会(葛飾戴斗1825年)・18 弁慶 源義経

花咲く木の脇で、弁慶が札に何か書こうとしています。義経は折り畳み椅子に座って弁慶を見ています。花は梅かと思ったら桜でした。根元の方から花をつけた新しい枝がたくさん伸びる、若木の桜。

歌舞伎「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき、1751初演)」の中のシーンだそうです。

ARC古典籍ポータルデータベースより

弁慶(べんけい) 源義経(みなもとのよしつね)

九郎判官義経は七歳の時鞍馬山に登り東光坊阿闍梨の弟子となり
兵書に心をゆだね軍学剣法天然の達人にて治承四年頼朝に合躰して
木曽義仲を誅伐し一の谷の戦ひに軍功名誉を顕し須磨の桜に制度を置
武蔵坊弁慶といへる快力無比の法師義経の臣として主従陰と
形のごとく随ひ武勇を励ましければ攻る処勝ずといふことなし
讒臣の舌刀に貫かれ奥州に漂泊 衣川の館にて自害す 生年三十一歳
或いふ夷国に落給ひしとも

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こちらは今年の春埼玉県小鹿野町を訪れた時、街角に貼られていた小鹿野歌舞伎のポスター。「一谷嫩軍記 熊谷陣屋の場」

制札を抱えているのが熊谷直実ですねー。物干し竿は撮影の瞬間だけ移動させてもらえばよかった。

                                       2023年4月撮影
一、此の花江南の所無也 

 一枝折盗の輩に於ては 天永紅葉の例に任せ 

 一枝を伐らば一指を剪るべし              

                      武蔵坊弁慶 

 

「一谷嫩軍記」をまだ見たことはありませんが、この「熊谷陣屋」の段が一番の見せ場みたいですね。「一枝を伐らば一指を剪るべし」・・・一子(敦盛)を救うために他の一子を斬れ、という義経の意を汲み、平家の御曹司・敦盛の命を救うために熊谷直実は我が子の命を奪った、というお話。