怪力美女の巴姐さん。
「早稲田大学図書館古典籍総合データベース」より
巴(ともへ)女
巴女は信州の産なり 木曽義仲これを納て妾とす 顔色清絶に
容姿麗艶なり 加之(しかのみならす)気勇にしてよく弓戟を
習ふ故に義仲に愛せらる 義仲戦陣に赴くごとに 巴必これに従ふ
義仲これをして良に乗せ鋭(たい・ほこ)を執らせ兵に将たらしむ
其戦功を耀すこと あたかも丈夫に侶(たぐ)ふ 義仲しはしは戦て
其士卒死する者多し纔(わつか)に五騎に成て巴猶相したかへり
時に武州の人 御田八郎師重といふ者あり 膂力卓越たり
自突騎三十を以てこれに進む 巴女其軍を衝いて直に師重を
とらへて これを刎(首刎ぬ) 其剛(つよ)きこと かくのことし
其後和田義盛にいきとらる 義盛わかくして勇烈なり
傍の松樹をぬきて折 向ふ巴其標を取てうははんとして つゐに
ねちちきりたりとかや
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