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絵本故事談 巻之五・33 信玄謙信

名将同士の一騎打ち、武田信玄上杉謙信。こういう勝負見てみたいですねー。

早稲田大学図書館古典籍総合データベース」より

信玄謙信(しんけん けんしん)
武田信玄は姓は源新羅三郎二十七代の孫なり 世騎射の礼式を伝ふ
甲州に知たり 初冠して大樹義晴公諱の字を賜て晴信と名り 幼して
聡敏 長して老成の智あり 父信虎信州海野口の城を攻るに堅く守て
抜ことあたはす 信玄父に代て纔に兵三百を以て急に襲て促(すみやか)に
攻む城乃(すなはち)陥る 人以て異なりとす 然とも父信虎性偏にして
功を忌 信玄を悪(にく)みて嫡をすて次郎信繁を立んと欲す
信玄其姻族今川義元と相謀て父信虎を駿府に遂(おひ)こめ
甲府を領し號令を縦(ほしいまま)にす 老臣旧将あへて争ふ者なし
国中皆首を低(たれ)て畏服せすといふことなし 
三十一歳にて祝髪(仏門に入ること)して法性院機山信玄と號し
僧正に任して塗輿を聴(ゆる)さる 平生強毫の諸将と会戦して
勝利を得るざることなし 只ぐんりよを大(ををいに)して戦を
挑む者は越州の謙信のみなり 

上杉謙信梶原景時か裔 父を為景といふ 故(もと)の氏は
長尾なり 後則政の譲を受て氏をかへて上杉とす 管轄の職に
任す 世越後の州にあり 武略を以て世に聞ふ 初冠して幕下義輝の諱の
字を拝賜して輝虎と名のる 少(わかふ)して英才あり 自いはく
家父祖の懃労によつて座しながら人君の栄貴を受て徒に温飽を事として
艱辛を嘗ずんは 其よく国を治めんや 況今乱世に生れて強敵に
摂(はさま)るるをや 遂に城を出て数州を経歴し其驍勇寡を以て
衆に勝 人以て良将の器とす 時に十四歳なり 後十八歳にて
謙信と信州に合戦を初て対陣すること十四年に及へり 
或日謙信面をつつみ信玄に忍ひよりてうたんとす 信玄団扇を以て
これをうけてあやうきをのかるといへり

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「謙信面をつつみ」信玄を討とうとしています。帽子にマスク、眼だけ見えてます。一時はコロナで街中こんな人ばかりでしたね。